センチネルアジア~宇宙からアジア太平洋地域の災害被害の軽減を目指す~
目的
センチネルアジアは、宇宙技術によるアジア太平洋地域の災害管理への貢献を目的として立ち上げられた国際協力プロジェクトです。地球観測衛星画像などの災害関連情報をインターネット上で共有し、自然災害による被害を軽減することを目指しています。プロジェクトの目標は以下の通りです。
- 情報通信技術および宇宙技術を利用したより安全な社会の実現
- 迅速かつ正確な災害対策および早期警戒の実施
- 人的・社会的・経済的損失の軽減
背景
過去30年間の統計(アジア防災センター発行「自然災害データブック2013」)によると、アジア地域が世界の中で最も災害による影響を受けており、世界全体の被災者数の約89%、死者数の約48%を占めています。このような状況から、2005年、APRSAFは、アジア太平洋地域の災害管理を支援するため、準リアルタイムのインターネットデータ提供システムやインターネットを利用した地理情報システム(Web-GIS)を用いて、地球観測技術の重要さと有効性を示すセンチネルアジアプロジェクトを提唱しました。センチネルアジアは宇宙コミュニティ(APRSAF)が防災コミュニティ(アジア防災センターとそのメンバー)および国際機関(UN ESCAP、UN OOSA、ASEAN、アジア工科大学院(AIT)など)と協力・連携して推進しています。
活動
センチネルアジアは以下のような活動をしています。
- 緊急観測:アジア太平洋域での大規模災害発生時、プロジェクトメンバーからの要請により地球観測衛星による被災地の緊急観測を行う。
- 個別災害対応:森林火災、洪水、氷河湖決壊洪水(GLOF)、津波の4つの分野でワーキンググループを編成して活動している。
- 能力開発・利用促進:提供した情報を相手国・機関で利用できるよう研修・人材育成およびヒューマンネットワークの構築を行う。
プロジェクトは以下のように段階的に進められています。
Step 1: | パイロットプロジェクトとして、センチネルアジアのバックボーンとなるデータ提供システムを構築し、センチネルアジアの取り組みの重要性と効果を示した。(2006-2007年) |
Step 2: | Step 1のデータ提供システムバックボーンを、新規衛星通信システムを利用して拡張する。また、Step 1の経験と新しい要求事項をもとにセンチネルアジアの活動を強化する。(2008-2012年) |
Step 3: | 共同プロジェクトチームによる更なる共同運営とヒューマンネットワークのもとに地球観測衛星・通信衛星・測位衛星といった種々の衛星を多く利用しながら、減災/準備、緊急対応、および復旧/復興を支援する活動へ拡大する(2013年以降) |
今後、センチネルアジアをさらに発展させるため、運営委員会を設置し、共同推進、ユーザ指向、戦略的運営の3つの概念から構成される計画を策定中です。
2013年から移行しているStep 3 のコンセプト
- Step2の活動を継承
- Step1 、Step2での緊急対応に加え発災前の減災・準備フェーズ及び復旧・復興フェーズも対象として、防災サイクルの全フェーズをカバー
- 地球観測衛星のみならず通信衛星及び測位衛星を活用
- 共同プロジェクトとして、参加機関の共同運営体制を構築
- 能力開発とアウトリーチ活動を通じた、ヒューマンネットワークの構築と利用推進