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APRSAF-27

APRSAF-27

2021年11月30日~12月3日

オンライン

共同声明

第27回アジア・太平洋地域宇宙機関会議 共同声明

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2020年初頭からの新型コロナウィルス感染症の世界的な拡がりを受け昨年はアジア・太平洋地域宇宙機関会議 (Asia-Pacific Regional Space Agency Forum: APRSAF) 年次会合を開催することができなかった。今年はオンライン形式ではあるが、「多様なパートナーシップで宇宙イノベーションを拡げよう(Expand Space Innovation through Diverse Partnerships)」のテーマの下、分科会を含めた形で第27回年次会合 (APRSAF-27)を開催することができたことは、大きな喜びである。

パンデミックが続く中においても、アジア・太平洋地域の宇宙プレイヤー達が国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」における国際協力や各々の活動を継続するとともに、コロナ禍を経た新たな世界・日常において、宇宙技術を更に活用していくべく取り組みを進めていることは、この地域の将来に向けて明るいそして心強い確信を与えている。

2019年に開催した第26回年次会合 (APRSAF-26)において、次の25年間を見据えた今後10年間の取組みを設定すべく、「名古屋ビジョン」を採択し、4つの大きな目標を掲げた。2年が経過する中、世界の宇宙活動においても、民間主体の宇宙飛行や新たなサービスの展開、月探査を始めとする宇宙探査活動への取り組みが本格化する一方、気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change: IPCC)が、人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させたことには疑う余地がないと断言する等の大きな動きが見られている。

そうした中において、「名古屋ビジョン」に掲げた4つの大きな目標は依然として重要であり、引き続き目標の達成に向けて地域で協力することの重要性を再認識する。

APRSAF-27では、新たな関心分野を取り入れて対象分野を拡大する形で再編した新たな分科会の体制による活動をスタートした。次のとおり、ビジョンの実現に向けて各々の分野で取り組みが進捗していること、そして更なる取り組みの方向性が打ち出されたことを歓迎する。

(1) 広範な地上課題の解決の促進

APRSAFは、気候変動適応等への衛星データ利用を多国間で展開するSAFE EVOLUTIONが推進され、成果がASEANで活用されるなど効果的に利活用されていることを歓迎する。センチネル・アジアでは国際枠組みへの貢献に向け、自律的な多国間協力を推進してきたことを確認するとともに、地球観測衛星・測位衛星等から得られる情報の統合利用の可能性検討を開始した。また、今後も宇宙技術の更なる利用を通じて、自然災害、気候変動、食料安全保障・水資源管理、都市問題、その他、社会に深刻な影響を及ぼしたパンデミックのような新たな世界規模の現象といった様々な社会課題の解決やSDGsの達成に貢献していくとともに環境と調和した持続可能な活動のために宇宙機関と利用機関、開発援助機関の協力体制を構築・強化していくことを確認した。

(2) 人材育成や科学技術力の向上

APRSAFは、Kibo Robot Programming ChallengeやAsian Herb in SpaceといったKibo-ABCイニシアティブ活動へ多くの若手研究者・技術者・青少年の参加を促し、地域の人材育成につなげた。この地域での「きぼう」利用の増加と利用への期待の高まりを認識し、人間が常時滞在するISSの魅力を最大限に生かして、引き続き「きぼう」利用を通じて科学技術の発展とSDGsの達成に寄与していくことを期待する。また、国際宇宙探査が地域の発展の場となるべく、その取組みについて継続して情報交換していくことを確認した。

青少年の知的好奇心を刺激する宇宙を素材とした教育プログラムや教育教材は身近な材料を用いて地域で展開しやすくすることが有効であることを確認するとともに大学等の高等教育機関における実践的な教育も含んだ幅広い宇宙教育を推進することを歓迎する。

また、APRSAFを地域全体の宇宙技術力の発展につなげていくための情報共有の場としての役割を認識し、技術の新たなトレンドに加えて、継続的な活動を行うべくシステムズエンジニアリング/プロジェクトマネジメント(SE/PM)、安全・ミッション保証(S&MA)手法を取り上げることを歓迎する。また、開発援助機関等との連携により、将来各国で指導的役割を担うことが期待される高度な知見を有する人材を育成することを目指し、短長期的な人材育成活動を継続することを確認した。

(3) 地域の共通課題に対する政策実施能力の向上

APRSAFは、地域の宇宙法政策能力の向上及び宇宙法政策分野における地域の国際的プレゼンスの向上に貢献した「宇宙法制イニシアティブ(NSLI)」の成果を歓迎し、APRSAF-27から開始となった第二フェーズでの更なる発展を期待する。また、地域の共通課題に対する各国の政策実施能力の向上に貢献するため、宇宙法・政策実務家間のコミュニティを通じた情報交換や意見交換の重要性を再確認し、新設された宇宙法政策分科会がコミュニティの恒常的なプラットフォームとして機能することを期待する。加えて、宇宙関連活動へ参画するプレイヤーの増加が見込まれる中、政府による宇宙産業振興政策の必要性を認識するとともに、宇宙活動の長期的持続可能性や気候変動への対応等のグローバルな政策課題について、引き続き地域として議論し、国際的な規範やルールに関する議論への貢献を目指すことを確認した。

(4) 地域のニュープレイヤーの参画促進と多様な連携の推進

APRSAFは、地域の宇宙関連活動の変化を捉え、新たなプレイヤーの参画を歓迎し、APRSAFがこれまでの経験を共有する場や多様な連携が生み出される場として更に機能するよう、プレナリーでの関連セッションに加えて宇宙産業ワークショップを通して宇宙活動の持続的発展のエンジンとなる宇宙ビジネス拡大、官民パートナーシップの必要性を認識した。

我々は、地球規模の困難な状況においても、宇宙活動が継続し、進展してきたことを確認するとともに、多様なプレイヤーとともに宇宙イノベーションを通じ、アジア太平洋地域の社会経済の発展に貢献することを目指していくことを確認し、APRSAF-27を終了した。

第28回年次会合(APRSAF-28)は2022年にベトナムで開催する。

以上

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